「えっギャラドス!?」
リーラヴは思ってもみなかったポケモンが出てきたのでびっくりした。
「ギャラドス!ピッピを助けるわよ!」
『わかったわ。ピッピさんたち、すぐ助けるから!』
「えっ」
ギャラドスから出た声はギャラドスとは思えないほど優しくて温かな声だった。
ギャラドスは網のほうに泳ぐように空中を進んだ。
「そうはさせねぇだぎゃ!行け!チャーレム!」
ガドは急いでモンスターボールを投げた。
『オレ様の出番か!?よっしゃ~!』
ガドはギャラドスを指差した。
「今日の敵はあいつだぎゃ!かみなりパンチだぎゃ!」
『おう!』
チャーレムの手に稲妻が走る。チャーレムはギャラドスに向かって走り出した。
「ギャラドス!たつまき!」
ギャラドスは急ブレーキをかけ、チャーレムの目の前に竜巻を起こした。
チャーレムは止まることが出来ず竜巻に突っ込んでいった。
『ぐえぇ!』
そしてチャーレムは空中に放り出されそのまま地面に落ちた。 ドンッ
「チャーレム!?無事だぎゃ?」
ガドは少しあせった。するとチャーレムはムクッと身体を起こした。
チャーレムは相当怒っているようだった。
『くっよくもこのオレ様をこんな無様な姿に…許せん…』
そのころリーラヴはロイヤに加勢しようと、ロイヤの元へ向かっていた。
しかし、そこにエアロが立ち塞がる。
「…」
エアロは無言のままモンスターボールを投げた。出てきたのはネイティオだった。
『ワタクシのデバンね…』
(ネイティオはたしかエスパー・飛行タイプ…草じゃ分が悪い)
「それなら…チコリータ!下がって!」
リーラヴはモンスターボールを出した。
「ヒンバス!」
出てきたヒンバスは寝起きのような顔をしていた。
『…え?戦うの?ボッ、ボクが!?』
(大丈夫かな…)
「うん。がんばって!ヒンバス!」
「みらいよち…」
エアロはボソッと言った。ネイティオは目をつぶった。
(何してるんだろ…でも今がチャンス!)
「ヒンバス!たいあたり!」
ヒンバスは尾びれで地面を蹴った。 ドカッ たいあたりは見事、命中した。
しかしネイティオはまだ大丈夫そうだ。
「つばさでうつ」
ネイティオは翼を広げ、ヒンバスのほうへ向かった。ヒンバスはそれをなんなくよけた。
ヒンバスはリーラヴが思っていたよりもずいぶん素早かった。普段のトロさが嘘のようだった。
「たいあたりよ!」
ヒンバスはネイティオに向かって突撃した。
一方、ロイヤは…
『くらえぇ!』
完全にキレたチャーレムはすごいスピードでギャラドスに向かった。
手にはさっき同様、いやさっきよりも強く稲妻が走っている。
ギャラドスは自分とチャーレムの間にいくつもの竜巻を作った。
『2度も同じ手にかかるかよ!』
チャーレムはそう言って竜巻をかわしながらギャラドスに近づいていった。
そしてついに追い詰められてしまった。
「ギャラドス!」
ロイヤが叫んだ。
『終わりだ!』
チャーレムは地面を強く踏みしめた。 ツルッ
『え!?』
チャーレムは足を滑らし、転んでしまった。それを見たロイヤはニヤリと笑った。
「ギャラドス、手加減しなくていいからね!全力でハイドロポンプ!」
『そうね…わかったわ。チャーレムさん。ごめんなさい!私、本気でやりますからね』
ギャラドスは少しためらってからそう言った。
ドバァ ギャラドスの口から大量の水が発射された。
チャーレムはその水に当たってガドのほうへ飛んでいった。
「うわっこっち来るなだぎゃ―」
ガンッ ドサ… チャーレムはガドとぶつかって気絶した。同じく、ガドも気絶した。
そのころリーラヴは…
「やっちゃえ!ヒンバス!」
しかしリーラヴは気付いていなかった。ネイティオが密かに笑みを浮かべたことに…。
ドカッ
『っ!』
「え!?」
ヒンバスはどこからか攻撃を受けた。
「…サイコキネシス」
『うわぁっ』
ヒンバスは衝撃波を受けたかのように後ろに飛ばされた。
『アナタにカチメはない』
ネイティオはそう言い放ち、再び翼を広げヒンバスに向かって来た。
(マズイ…ヒンバスはよけられる状態じゃない!)
「ギャラドス、ハイドロポンプ!」
不意に現れたギャラドスの攻撃をネイティオはギリギリよけた。
「ロイヤ!」
リーラヴはヒンバスの元へ駆け寄りながらそう言った。
「男のほうはなんとかしたわよ」
するとエアロはチッと舌打ちしてネイティオをボールに戻した。
2対1では勝てないと思ったのだろう。
エアロは気絶しているガドを引きずりながら去っていった。
「フー…ありがとロイヤ。助かったよ」
リーラヴは胸を撫で下ろした。
『大丈夫だった?ヒンバスくん?』
ギャラドスはヒンバスに近づいてそう言った。
『う、うん…ありがとう…』
ヒンバスは明らかに顔が赤くなっていた。
(あれ?これって…恋の始まりってやつ?)
リーラヴはクスッと笑った。
2人はピッピたちを網から出した。みんなホッとしているようだ。
すると2匹のピクシーが2人の元へやってきた。
『ありがとうございました。コレは私達からのお礼です。受け取ってください』
「ん?何?」
「お礼だってさ」
ピクシーの手に握られていたのは月の石だった。
「すごい!これが月の石…」
リーラヴもロイヤもうれしそうだった。
「あれ?」
ロイヤは自分の足元を見た。そこには小さくて可愛いピィがいた。
『フフ…あなたのことが気に入ったみたいですよ?よかったらその子も連れて行ってください』
1匹のピクシーがそう言った。リーラヴはロイヤのために通訳をした。
「あのね、その子、ロイヤのことが気に入ったみたいなの。
よかったらその子を連れてってもいいよって言ってるの」
その言葉にロイヤは少し驚いた。
「えっ…ピィ、私と一緒に来る?」
ピィはコクリと頷いた。ロイヤはニコッと笑い、ピィを抱き上げた。
「行こっか!リーラヴちゃん!」
「うん!」
リーラヴたちはピッピたちにさよならを言って、このおつきみ山を去った。