「チコリータ!はっぱカッター!」
シュッ
「よけろ!イワーク」
タケシはそう指示したが、あの巨大な身体で素早くよけるのは大変らしく
よけきることはできなかった。
「いいわよ!もう1回はっぱカッター」
「あなをほるだ!」
イワークは急いで穴を掘り地中に姿を消してしまった。
『えっ!どっどこ!?』
チコリータはキョロキョロし始めた。すると、チコリータの真下の地面にひびが入った。
「!チコリータ!下よ!」
『えっ!?』
ドカッ イワークはチコリータの真下から現れ、チコリータを跳ね上げた。
さらにイワークはしっぽでチコリータにまきついた。
『うっ』
チコリータは動けなくなったばかりか、締め付けられてダメージを受けてしまった。
「チコリータ!」
リーラヴの顔はみるみる真っ青になっていった。
(どうしよう…このままじゃ負けちゃう!)
―く、苦しいよ…助けて…。もうダメ…動けない…負ける…
…負ける? 私、自分からそう言った?ダメ…だよ…そんなの。
変わらなきゃ。強くならなきゃ。あきらめたら、弱いままだよ。
そんなのイヤだよ…こんなところで…負けられないの!―
チコリータは自分のどこかが動いた気がした。
「チコリータ!」
リーラヴに呼ばれて、チコリータは目を開けてみた。そこには1本の長いつるがあった。
『なっ何コレ!』
「何コレって…多分つるのムチだよ!」
そのつるはチコリータの身体から出ていた。
ググッ
『うっ』
チコリータはさらに締め付けられた。
(早く抜け出さないと…そうだ!)
「チコリータ!つるのムチでイワークの目を塞いで!」
つるのムチはどんどん伸びてイワークの顔にぐるぐるとまきついた。
イワークはびっくりしてバランスを崩し、倒れこんでしまった。
するとチコリータにまきついていたしっぽの力がゆるんだ。
『それっ』
チコリータはその隙にしっぽから脱出した。
つるのムチはチコリータの身体の中に戻っていった。イワークはまだ倒れている。
「チコリータ、はっぱカッター!」
シュッ イワークはその攻撃をよけることができなかった。
だいぶダメージは与えたものの、イワークは起き上がってきた。
チコリータもイワークもそろそろ限界である。
(次で…次で決めなきゃ!)
「イワーク!あなをほる」
イワークは地面に潜った。
「チコリータ!集中して、音を聞けばわかるわ!」
チコリータは静かに目を閉じて、集中した。
ガガ イワークが地中を進む音が聞こえる。
ガガッガガ…ゴゴッ 急に音が大きくなった。
―来る!!
ガラガラガラッ イワークはチコリータの背後に地面を突き破って出てきた。
チコリータはすぐに気付き、くるっと身体の向きを変えた。
「はっぱカッター!」
「たいあたりだ!」
リーラヴとタケシが同時に言った。 シュッ ガガッ ドカッ
はっぱカッターは命中した。が、チコリータはイワークのたいあたりを受けてしまった。
ググッ 立ち上がろうとする2匹。 バタッ
イワークは力尽きて地面に倒れこんだ。リーラヴとチコリータの勝ちである。
「やったー!」
リーラヴの声がジム内に響く。リーラヴはとにかくうれしくて飛び上がった。
チコリータは自分が前より強くなっていることを実感した。
チコリータも泣きそうなほどうれしくなった。
するとタケシがリーラヴのところにやってきた。
「オレの負けだ。これを受け取ってくれ」
タケシが出したのはグレーバッジだった。
「あっありがとうございます!」
リーラヴはそのバッジを受け取った。
「よかったね!リーラヴちゃん」
ジムの外に出て、リーラヴはロイヤと話していた。
「うんっうれしいっ!」
リーラヴはバッジを見た。リーラヴにとって初めてのバッジはとてもきれいだった。
「そういえばさ…ロイヤは気付いてるの?ヒンバスのこと」
するとロイヤはクスッと笑った。
「もっちろん!わかってたからギャラドス出して応援してたんだもん!
ヒンバスが頑張れるように~って!」
「そっか☆ありがとね」
「でもね~ギャラドスは気付いてないみたいなんだよね~」
2人はクスクスと笑いながらポケモンセンターに向かった。
その日の夜。ポケモンセンターにて…
「リーラヴちゃん。次どこ行くの?」
ロイヤはマップを見ながら言った。
「う~ん…。ハナダシティかな」
リーラヴはロイヤのマップを覗き込んだ。
「じゃあ、ちょうどいいね!」
「何が?」
ロイヤはニコッと笑った。
「フフ…明後日ハナダシティでコンテストがあるの」
「コンテスト!?出るの?ロイヤ」
リーラヴは少しびっくりしている。
「どうせ行くなら、出たほうがいいでしょ?」
「うん、そうだね。じゃ、次の目的地はハナダに決定!コンテスト見てみたいし!」
「今日は遅いからもう寝よ?」
ロイヤはあくびをしながらそう言った。
次はハナダシティ。リーラヴにはジム、ロイヤにはコンテストが待っている。