ガチャ オーキド研究所の扉が開いた。
「ん?何だろ…?」
リーラヴとオーキド博士はその音に気付き、玄関に行った。そこにいたのは…
「チコリータ!…とマリィ!」
『リーラヴ…』
チコリータは何を言えばいいのかわからなかった。
「チコリータ!帰ってきてくれたのね!」
リーラヴはそう言ってチコリータをギューっと抱きしめた。チコリータの顔が明るくなった。
『あの~お取り込み中悪いんだけどぉ、おまけみたいな言い方やめてくれる~?』
マリィは不満そうな顔をしてリーラヴに言った。
「アハハ…ごめん☆」
リーラヴは笑いながら言った。
「さてと、チコリータ!もう旅の準備は出来てるんだ!!」
リーラヴはチコリータが帰ってきたらすぐに出れるように準備をしていたのだ。
「行こ!チコリータ!」
リーラヴは早く行きたいようだ。
『ちょっと待って』
そんなリーラヴをマリィが引き留めた。そしてくるっと半回転し、チコリータを見た。
『チコリータ。もう1度勝負しない?今度は本気でさ』
『えっ!?』
「うん。そうだね」
リーラヴは強気な顔をしてそう言った。しかしチコリータは逆だった。
『そっそんなっ私…』
チコリータは一瞬断ろうとした。でも断れなかった。逃げたくなかったから。
『…私…やる。…絶対マリィさんに勝つ!』
「そうと決まれば…早速!」
リーラヴたちは外に出た。
「よし。チコリータVSマリィ!スタートじゃ!」
オーキド博士が大声を上げた。
マリィがみずでっぽうを発射した。
「チコリータ!よけて!」
タッ チコリータはみずでっぽうをよけた。どうやら前のバトルで
マリィの攻撃が直線的だということに気付いたらしい。
『じゃぁこれをよけれるかしら!?』
マリィから冷気が発せられた。
「冷凍ビーム!?チコリータ!気をつけて!」
マリィの冷凍ビームが強力だということはオニスズメの件で十分わかっていた。
チコリータは息を飲んだ。 カッ 冷凍ビームが発射された。
チコリータは地面に這いつくばって、ギリギリのところでよけた。
「フー。危なかった」
しかしすぐにマリィが攻撃してきた。マリィのしっぽが光り、硬質化した。
「アイアンテール!?」
マリィはそのしっぽをブンと振り下ろした。チコリータは反応できなかった。 ドーン
『きゃあっ』
チコリータは攻撃をまともに受けてしまった。マリィはすぐに冷凍ビームの準備をした。
(まずい…今、冷凍ビームが当たったら…!)
しかしチコリータはまだ体勢が整っていない。
発射。冷凍ビームはまっすぐチコリータへ向かっていく。
どうしよう…。よけないと…。でも、体が…動かないよ…。私…やっぱりダメなのかな…。
だんだん冷気が強くなってくる…。でも…勝ちたい…。変わりたい。
強く…強くなりたいっ!!
「チコリータ!!」
冷凍ビームはチコリータがいるところを通過した。そこにチコリータの姿はなかった。
シュッ チコリータがマリィの後ろから攻撃した。チコリータはほぼ一瞬で
マリィの後ろに移動していたのだ。
「これは…でんこうせっか?」
それだけではなかった。チコリータはマリィに直接攻撃はしていなかった。
(これは…?)
リーラヴの足元にはっぱが落ちていた。それはここらへんの植物にはないはっぱだった。
「もしかして…はっぱカッター?」
リーラヴはチコリータを見た。チコリータはパチンとウインクした。
「チコリータ…」
そう、チコリータはでんこうせっかとはっぱカッターを使えるようになったのだ。
『まだ…勝負はついてないわよ!』
マリィはハァハァ言いながらそう言った。効果抜群の技を不意に受けたためか
相当ダメージがあったようだ。マリィは丸くなった。
「!!チコリータ!ころがるだわ!」
リーラヴが叫んだ。リーラヴが言ったとおりマリィはころがるを使ってきた。
「チコリータ!はっぱカッター!」
シュッ しかし攻撃ははずれた。
(ころがるのスピードが速くて攻撃が当たらない…それなら!)
「チコリータ!でんこうせっかで反対側へ!」
『わかった』
タッ チコリータはマリィの後ろに回った。
(あのスピードだとそう簡単には方向転換できないハズ!)
リーラヴの読みどうり、マリィは方向転換に手間取った。
「今よ!はっぱカッター!!」
『いっけぇ!!』
シュッ はっぱカッターはマリィの体に当たった。回転が徐々に弱まっていった。
バタッ
『ふえぇ~目が回るぅ~』
マリィはそのまま気絶した。
『うあぁ~?』
しばらくしてマリィは目を覚ました。
「マリィ!大丈夫?」
『うん』
マリィは体を起こした。
『あ~あ、負けちゃったぁ。うちもまだまだだね…チコリータ、あんたはよくやったよ』
『えっ』
チコリータは顔が赤くなった。
『もっと自信持っていいんだよ。あんたなら強くなれる…そんな気がする』
『マリィさん…ありがとう』
「バトルもしたことだし、そろそろ行こっか。チコリータ」
『うん。そうだね。…あれ?あのおじいさん(オーキド博士)は…?』
みんなは周りを見回した。しかしオーキド博士の姿はなかった。
するとオーキド博士がドタドタと急いでやってきた。
「リーラヴ君!これを…」
オーキド博士は赤くて四角いものを出した。
「あ!これ、ポケモン図鑑だぁ!」
リーラヴはそれを手にした。
「トレーナーには必要なものじゃろ?」
「うん!」
リーラヴはうれしそうに言った。
「あと…これも持っていってくれ」
オーキド博士は丸いものを出した。それはあの、リーラヴがキャッチしたポケモンの卵だった。
「えっ!?いいの?研究に使うんでしょ?」
「まだ2個ある。それにこれはリーラヴ君がいなかったら割れていたかもしれんしな。
だから…リーラヴ君、きみが持っていてくれ」
リーラヴは卵を受け取った。
「ありがと。オーキド博士!…じゃ、行ってきまーす!!」
リーラヴはうれしそうに扉を開けた。ポケモンマスターへの道の
第一歩を今、歩みだしたのである。
リーラヴとチコリータ。1人と1匹は決意した。ともに強くなることを。
それを信じ、努力し続けることを誓い、旅立ったのである。