よく晴れた日の朝。白髪の少女、リーラヴはいつものように相棒のメガニウムの背中に乗り、
ちょっとした散歩をしていた。
すると向こうのほうに誰かいることに気づいた。近づいてみると1人の男の子が
リ-ラヴと同年代ぐらいの少年5人に囲まれていた。
「おい、コサブロウ。金は持ってきたんだろうなぁ」
少年が男の子にそう迫った。
「っ…今、お金なくって…ごめんなさい!」
男の子がビクビクしながらそう言うと少年達は顔色を変えた。
「んだとぉ!テメーなめてんのか!?」
「ひっごっごめんなさいっ!!」
すると少年がフッと笑って男の子を睨んだ。
「ちょっと痛い目にあわせてやろうぜ」
他の少年達もニヤリと笑った。
その会話を聞いていたリーラヴはなんのためらいもなく飛び出して、
男の子と少年たちの間に割り込んだ。メガニウムもそれに続いた。
「ちょっと何やってんのよ君たち!まだポケモンを持ってるか持ってないかぐらいの子に
5人がかりでなんて…卑怯よ!!」
リーラヴは真剣な顔つきで少年たちを見た。
「なんだ?邪魔すんのか?」
「そこどかねーならまずお前から痛い目にあってもらう!」
5人はモンスターボールを出した。
「いけっ!」
5人が出したのはオニドリル、サイホーン、ゲンガー、ブーバー、ギャラドスだった。
「メガちゃん!」
『メガッ』
リーラヴの隣にいたメガニウムは1歩前に出た。
「5匹相手に1匹だと?なめんじゃねーよ!」
「やっちまえ!」
5匹が動き出した。
その瞬間リーラヴが叫んだ。
「メガちゃん!マジカルリーフ!」
『メガメガー!』
シュッ マジカルリーフは目に見えないほどの速さで相手のポケモンたちに襲い掛かった。
「なっなんだと!?すげえスピードだ…」
少年は唖然としている。
「感心してる場合かっ一斉にやっちまえ!」
5匹がメガニウムに襲い掛かった。
「メガちゃん!ほうでんよ!!」
カッ バチバチッ 一瞬なにも見えなくなるほど光った。
見えてきたときにはサイホーン以外の相手ポケモンは倒れていた。
「俺のポケモンが!」
「まだ大丈夫だ!サイホーンは残ってる!サイホーン、とっしんだ!」
サイホーンがメガニウムに向かってすごいスピードで来た。
「つるのムチ!」
シュルッ メガニウムからつるのムチが出てきた。それがサイホーンの体にまきついた。
サイホーンは動けなくなった。 ブンッ メガニウムはサイホーンを5人のほうに投げつけた。
ドーン サイホーンは5人の目の前に落ち、ノックアウトした。
「ひぃっ!」
「な何者だ!?こいつ」
少年たちはかなりあせっている。
「ん?こいつどこかで見たような気がすると思ったら…ポケモンマスターのリーラヴじゃねえか!!」
少年たちの顔はみるみる青ざめていった。
「なに!?ポケモンマスター!?」
「かなうわけねえ…に、逃げるぞ!」
5人は一目散に逃げていった。
「フーなんとかなったわね…大丈夫?君」
リーラヴはくるっとふり返ってそう言った。
「あ…はい。助けてくれてありがとうございます」
男の子は軽くお辞儀をした。
「いーのいーの。あぁいうのほっとけないだけだから」
リーラヴはニコッと笑ってそう言った。
「そうですか。すごいですね…リーラヴさん?名前は聞いたことあるような気がする」
「そう?まだポケモンマスターになってから1年ぐらいしか経ってないと思うけど…」
リーラヴはあっさりと自分からポケモンマスターだと言った。
「ポケモンマスターですか…。ずっと憧れてました。でも…ぼくみたいな人じゃダメですよね」
「そんなことないよっ!」
リーラヴはいきなり大声を出した。
「えっ!?」
リーラヴの突然の言葉に男の子は少し驚いた。
「あたしも一緒だったから…この子だって」
と言いリーラヴはメガニウムをチラッと見た。
「そんな、ぼくに気を使わなくてもいいですよ」
「ちがうってば!ホントなの」
男の子はキョトンとしている。
「…どういうことですか?」
「それは…」
リーラヴは少しためらった。
「あたしもメガちゃんもいじめられてた。昔ね」
「えっ!?…どうやったらそんなに強くなったんですか!?」
リーラヴはどこから話せばいいだろう、と少し困った顔をした。
「う~ん…話せば長くなると思うけど…聞きたい?」
「聞きたいです!…そうだ。ぼくの家に来ませんか?ここからすぐですし」
「そうなの?じゃあそうしようかな~」
リーラヴは再びニコッと笑った。
「あ、ぼくコサブロウといいます。よろしくおねがいします」
リーラヴはこのとき初めてコサブロウの笑顔を見た。
「じゃあ、あらためましてリーラヴです。こっちは相棒のメガちゃん」
『メガメガッ』
コサブロウはくるっと体の向きを変えた。
「じゃ、いきましょうか。こっちです」
リーラヴはメガニウムの背中に乗った。そして、2人と1匹は歩き出した。