2008年09月08日
翌日。
「リーラヴ君、どうするんだ?待つのか?それとも…」
オーキド博士は心配そうに言った。しかしリーラヴはどうするかしっかり決めていた。
「待つよ。帰ってくるのを」
リーラヴは静かに言った。
「そうか…しかし…」
オーキド博士はコホンと咳払いをし
「帰ってくるのかわからんのじゃぞ」
と言った。リーラヴはオーキド博士の方を見た。
「帰ってくる。きっと…ううん、絶対!…あたしね、あの子となら強くなれる気がしたの」
オーキド博士は何も言わなかった。
「リーラヴがしたいようにすればいい」
そう言ってオーキド博士はいつものように研究所のポケモンたちを見て回りに行った。
一方、チコリータは…
『きゃあ』
チコリータはオニスズメたちに追われていた。
『勝手に俺たちの巣に入りやがって!』
『知らなかったの!だからっ…』
チコリータは走りながら必死に抗議した。しかしオニスズメたちは頭に血が上り、
チコリータの声が全く聞こえていなかった。
『わっ』
チコリータは木の根っこに足を引っ掛けて転んでしまった。オニスズメが一斉に襲い掛かる。
チコリータはもうダメ、と思い、目をぎゅっとつぶった。そのときだった…。
ビシャアァ オニスズメたちに大量の水がかかった。
『なんだっ!?』
そこには…マリィがいた。
『なんだかんだと言われたら答えてあげるが世の情け!マリィ!』(パクリやん!?)
かっこよく登場したつもりのマリィはいい気になって叫んだ。
『弱いものいじめはそこまでっ!この正義の味方、マリィ様が来たからには…』
すると1匹のオニスズメがマリィを思いっきりつついた。マリィはお空へ飛ばされた。
ボテッ マリィが落ちた。
『まだセリフの途中だったのに…貴様ら…許さないんだから!』
マリィはキッとオニスズメたちを睨みつけた。そしてマリィは口をめいっぱい開けた。
そこから冷気を帯びた光線が発射された。
オニスズメたちは『げっ』っと言って逃げようとした。しかしすぐに追いつかれた。
『ヒィッつめ…』
オニスズメたちは氷付けになり、動かなくなった。
マリィはフンッと鼻を鳴らしてチコリータの方へ行った。
『大丈夫?』
チコリータはマリィのほうを見た。
『うん…どうしてここに…?』
『ちょぉっと散歩~♪フッ今の戦い、タスクのやつに見せてやりたかったな~』
チコリータの周りに?が飛び出た。
『たすく?たすくって?』
『あ~タスクっていうのは…うちのトレーナーだった人』
チコリータの周りの?が1つ増えた。
『だった?それって…まさか…』
『ソッ捨てられたの。そいつに』
チコリータは目をまんまるに開いた。
『そんな…どうして?そんなに強いのに…』
それを聞いたマリィはクスッと笑った。
『うち、昔メッチャ弱かったモン。野生のコイキングにすら勝てなかったし』
『えっ!?うそっ』
『うそじゃないよ~。強くなったのは捨てられたアトだし』
チコリータは愕然としていた。
『でも…どうやったらそんなに強く…』
これがチコリータの1番聞きたいことだった。マリィはしっかりとした口調でこう言った。
『信じて努力した。ただそれだけ』
その言葉がどれだけチコリータに勇気を与えたことか…。
その言葉はチコリータの心に強く響いた。
それだけ…?ほんとに?
あたしにだってコイキングを倒す自信くらいはある。でもマリィさんは倒せなかった…昔は。
でも今はこんなに強くなって私の目の前にいる。これはほんとのこと?うそじゃなくて…?
でもね、なんでかわからないけどマリィさんがうそついてるとは思えないの。どうしてかな?
『最初はさ、うちなんかが強くなれるかって思ってたんだ。でもじぃさん(オーキド博士)が
“ポケモンには無限の可能性がある”って言ってくれたんだ。こんなうちを
拾ってくれたじぃさんにしてあげられることは強くなることだけだった。うちにとって、
じぃさんは大切な存在なんだ。じぃさんのためにも…強くなりたかったんだ』
話を終えたマリィはチコリータをチラッと見た。
『ちょっチコリータ!?どうしたの!?』
マリィはかなりあせった。チコリータは涙を浮かべていた。
『感動しちゃって』
『こんな話にぃ?涙もろいんだね~』
マリィはフーと息を吐いた。
そしてチコリータは涙を拭き、こう言った。
『私…やっぱり強くなりたい。…私…』
『リーラヴと旅に出る?』
マリィはチコリータの言葉をさえぎるように言った。
『でも…もういないんじゃないの?』
チコリータは下を向いた。
『あんなこと言っちゃったし…』
マリィはクスッと笑った。
『リーラヴ、チコリータが帰ってくるのを待つって言ってたよ?』
チコリータはパッと顔を上げて、マリィのほうを見た。
『帰る?チコリータ』
『うん!』
2匹はオーキド研究所に向かって歩き出した。
チコリータは決心した。
強くなる。私のためにも。そして、リーラヴのためにも。
信じて努力する…ただそれだけ。
2008年09月08日
『行くわよ!』
マリィはチコリータにたいあたりをしてきた。
「チコリータ!よけて!」
『わっ』
チコリータは慌てて攻撃をよけた。
『よけられたか…これならどう!?』
マリィは口を開けた。マリィが使える技をほとんど知っているリーラヴはすぐにわかった。
「みずでっぽうが来るわ!」
マリィの口から水が勢いよく飛び出し、チコリータへ向かって行った。
「チコリータ!」
『きゃぁ!』
チコリータは怖がってすぐに後ろを向いて走り出した。
「!後ろじゃなくて横によけ―」
しかし水はすぐにチコリータに追いついた。しかも急所に当たってしまった。
「チコリータ!大丈夫!?」
『う…なんとか…』
すると休む暇もなくマリィがたいあたりをしてきた。
『わぁ!』
チコリータはその攻撃をよけた。
「チコリータ!こっちもたいあたりよ!」
『うんっ!とりゃぁ!!』
チコリータは全身の力を込めてたいあたりした。
しかしマリィはでんこうせっかでそれをなんなく回避した。
『うわあぁぁ』
チコリータはそのままの勢いで地面に突撃した。 ガンッ バタ…
「チコリータ!?」
『も…もうダメ…』
チコリータは気絶した。
「…ータ…」 あれ…何か聞こえる…。
「…チコ…」 私を呼んでる…?
「チコリータ!!」『うわぁっ!?』
チコリータが目を覚ましたとき、目の前にはリーラヴの顔があった。
「よかった~。やっと気がついた。大丈夫?チコリータ」
『う…うん。私どれぐらい寝てたの?』
リーラヴは時計を見た。
「う~ん。2時間ぐらいかな?」
『2時間!?』
たしかに時計を見ると12時ぐらいだったのが14時になっている。
「残念だったね↓でも初めてなんだし…次があるよっ」
リーラヴはニッコリ笑った。
しかしチコリータは黙って下を向いた。
「…チコリータ…?」
リーラヴの顔が心配そうな顔になった。
『ホントに…』
「え?」
『ホントに私なんかが強くなれるの!?』
チコリータは叫んだ。
『全く攻撃が当てられなかった!しかも地面にぶつかって気絶だなんて…
それに!相性的には私のほうが有利なんだよ!?それなのに…』
ポタッ チコリータは涙を流していた。
「チコリータ…」
リーラヴは何て言ってあげればいいのかわからなかった。
するとチコリータはくるっと後ろを向き、トボトボ歩き出した。
「どこ行くの!?」
チコリータは暗い声で答えた。
『出てく…』
「えっ!?」
リーラヴはすぐに止めようとした。しかしチコリータはリーラヴを振り切り、
玄関まで行った。そして力の限り叫んだ。
『もういいよ!私にかまわないで!ここにはいっぱい私なんかより強いポケモンがいるでしょ!?
私なんかほっといて他のポケモンと旅すればいいのよ!!』
「そんなっチコリータは強くなりたいんでしょ!?」
『どうせ強くなれないよ!それなら誰にも迷惑かけないように出てくんだから!』
チコリータはそう言い残して走り去って行った。
「チコリータ…!」
リーラヴはそう叫んだ。でも追いかけようとはしなかった。
どうして追いかけなかったんだろう。自分でもわからない…。
チコリータが去った後、リーラヴはずっと自分の部屋の窓から外を見ていた。
チコリータが帰ってくるのを待った。
『ハァハァ…』
町の外までずっと走っていたチコリータはさすがに息が切れていた。
しかも、この日はカンカンに晴れていた。まるで日本晴れを使ったときみたいに。
チコリータの体からは汗が滝のように溢れ出た。
チコリータは近くにあった大きな木の下で休むことにした。
『これからどうしよう…』
どこか寝床を探さなくちゃ…。どこがいいのかな…洞窟とか?
ううん…洞窟には絶対ポケモンがいる。ポケモンがいないところ。人間もいないところ。
誰にも迷惑をかけない場所。誰もいない、孤独な場所。
その日の夜。チコリータは結局その木の下で寝ることにした。
しかし、昼間のあの暑さとは対照にこの夜はとても冷えた。温室育ちのチコリータに寒さが襲った。
『寒いよぉ…』
チコリータは力なく言った。そして空を見上げた。
そこにはまんまるで大きな月と今にも消えそうな光を放つ星たちがあった。
そういえば、リーラヴの手は温かかったな。手だけじゃない…心も…。
チコリータはそう思った。
2008年09月08日
リーラヴとチコリータはオーキド研究所に向かっている。
『ねぇ、その研究所に行ったらどうするの?』
「う~ん。旅の準備しなきゃね~。…あ、そうだ!
ちょっと特訓してかない?ポケモンたくさんいるし」
『特訓?別にいいけど』
「よ~し。じゃあ決まり!」
そう話している内にマサラタウンに着いた1人と1匹。
リーラヴたちは研究所に入った。
『わぁ…広い』
チコリータは驚いているようだ。
「あっオーキド博士!」
リーラヴは走ってオーキド博士のところに行った。チコリータはすぐにリーラヴを追った。
オーキド博士は手に3つの丸いものを持っていた。
「おお!リーラヴ君か」
オーキド博士がリーラヴのほうを向いた。そのときだった。
1つの丸いものがオーキド博士の手から転げ落ちた。
「あっ!!」
リーラヴは地面すれすれでそれをキャッチした。
『ナイスキャッチ!』
でも体制を崩してドテッと転んでしまった。
「いったぁ~」
「大丈夫かっ!?リーラヴ君」
「うん。大丈夫だよ…博士、コレ何?」
リーラヴは今キャッチした丸いものを見て言った。
「おぉ。コレは卵じゃ。ポケモンのな」
「えっ!?」
『ポケモンの!?』
リーラヴもチコリータもびっくりしている。
「いつものように研究所のポケモンたちを見て回っておったらな、それが落ちていたのじゃ。
しかも3つあったんじゃよ」
「へぇ~何のポケモンが産まれるの?」
その質問にオーキド博士はため息をついた。
「それがわからないんじゃよ」
リーラヴはキョトンとした。たしかにオーキド博士はポケモンの研究より
川柳のほうが有名だが今までリーラヴが聞いて答えが返ってこなかったことはなかった。
(オーキド博士にもわからないことがあるんだ…)
「それより、さっきは卵を落とさずに済んでよかったの…」
「割れちゃうかもしれないもんね…ハイ、どうぞ」
リーラヴはオーキド博士に卵を渡した。
「ところでそのチコリータはどうしたんじゃ?…あ、学校でもらえるんじゃったな」
「うん。この子と旅することにしたの」
「そうか…で、すぐに出るのか?」
リーラヴは首を振った。
「ううん。まだ全然準備してないの。それに少しトレーニングしてから
行こうかな~って思ってるの」
オーキド博士はうん、うんとうなずいていた。
「それはいい考えじゃな。そうするといい」
「うん。チコリータ!早速トレーニング開始よ!」
『うん!』
リーラヴとチコリータは走ってオーキド研究所の庭(?)に行った。
「さてと、やっぱり1番いいのはポケモン同士バトルすることだと思うんだよね~。
…相手になれそうなポケモンいるかな~」
リーラヴは辺りを見回した。
「あ!マリィ!」
リーラヴは池のほうを見て言った。そこにいたのはマリルだった。
『リーラヴ!どうしたの?』
マリィはリーラヴたちのほうに歩いて来た。
「あのねマリィ。ちょっと相手してほしいの。今からこの子のトレーニングするの」
『そっか、いいよ。退屈してたとこだし。はじめまして、チコリータ!
うちはマリルのマリィ。よろしくね』
『よろしく…』
チコリータは少し顔が赤くなっていた。
(こういうのあんまり慣れてないんだな…)
「じゃあ、早速始めよっか!マリィ、チコリータはバトル初めてだから手加減してよ」
『はいはい…あ、チコリータはどんな技使えんの?』
『え!?あ…実はたいあたりとなきごえしか使えないの…』
『えっ!?』「えっ!?」
マリィとリーラヴは同時に声を出した。
『ごめんなさい…』
リーラヴは慌ててフォローした。
「いいのいいの!これから強くなれればいいんだからさ!」
マリィもフォローに回った。
『そうよ!これからこれから!』
『うん…』
「さっ始めよっ!」
2008年09月08日
また更新せずにほったらかしにしてしまいました…。
…はっきり言ってあたしがホームページがほしかったのは物語を書きたかったからです。
と、言うわけで、これからは物語を中心としていきたいと思います。
気が向いたら日記やゲームの話もしますよ。
そういえばこのブログの名前やあたしのHNの由来って書いてないですよね?
この機会に書いておきます。
「ファンタジー・グレイシス」 ファンタジーはほっといて、「グレイシス」って何?
と思った人いるんじゃないですか?
実は「グレイシス」はあたしが作った物語のタイトルです。
一番気に入ってる物語で、書くのは不可能な物語なんです。(とあるゲームを基本としているため)
そして「グレイシス」はその物語の主人公、「シェルテ」の苗字でもあり、もっと深い意味もあり…。
そうです、HNの由来はそこです。
自分も「シェルテ」みたいなキャラになれるといいな、と思ってそれにしたんです。
あー、できればグレイシス書きたい…。絶対、途中で挫折すると思うけど…。